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海鵜のように

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投稿日時
2012-06-24 10:37:42

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奄美 剣星

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投稿者コメント
もう一度妻をおとすレシピ
http://r24eaonh.blog35.fc2.com/

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海鵜のように
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線路は途切れ町が世界の果てになっている。卒業して離れたときに送り出してくれたプラットホームが夏草がむして見えなくなって、電車は時間を止めたゲートの向こうに放置されている。半年が経って僕は帰ってきた、そう君に逢うために。
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昔みんなで騒いだ浜辺に人気はなく、見た目には澄んだ海と空。誰も歩かなくなったアスファルト道路は陽炎ばかりが揺れている。

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防波堤は崩れていて、港に船はなく家に突っ込んだ光景。僕は恋人を捜す。ツルハシを振るって、「愛している」といまさら叫んでみる、瓦礫の下の眠り姫は目覚めぬということを知っているというのに。

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死の灰を散りばめた水と空気、何も見えぬまま、毒と知って口にする夏野菜スープ。津波はとっくに引いた。だけど饒舌な慰めをささやく潮騒がうねる。

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ダークファンタジー。

ダークファンタジー。

ツルハシを止めてふと渚を振り返る。一羽の海鵜が魚を呑みこんでいるのがみえる。波間にもまれて翼はびしょ濡れ、でも羽ばたいて飛ぶことを消して忘れはしない。
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喉で止めた人を呪う言葉。息と鼓動を止めぬことが唯一の価値、故郷はほらまだそこにある。

だから、海鵜のように、海鵜のように、僕は生きる。
だから、海鵜のように、海鵜のように、僕は生きる。
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