タイトル | 海鵜のように/広野駅 | ||||
タグ | *自作詩挿絵/ *書きこみはご遠慮ください | ||||
コメント | もう一度妻をおとすレシピ http://r24eaonh.blog35.fc2.com/ . 海鵜のように . 線路は途切れ町が世界の果てになっている。卒業して離れたときに送り出してくれたプラットホームが夏草がむして見えなくなって、電車は時間を止めたゲートの向こうに放置されている。半年が経って僕は帰ってきた、そう君に逢うために。 . 昔みんなで騒いだ浜辺に人気はなく、見た目には澄んだ海と空。誰も歩かなくなったアスファルト道路は陽炎ばかりが揺れている。 . 防波堤は崩れていて、港に船はなく家に突っ込んだ光景。僕は恋人を捜す。ツルハシを振るって、「愛している」といまさら叫んでみる、瓦礫の下の眠り姫は目覚めぬということを知っているというのに。 . 死の灰を散りばめた水と空気、何も見えぬまま、毒と知って口にする夏野菜スープ。津波はとっくに引いた。だけど饒舌な慰めをささやく潮騒がうねる。 . ダークファンタジー。 ダークファンタジー。 ツルハシを止めてふと渚を振り返る。一羽の海鵜が魚を呑みこんでいるのがみえる。波間にもまれて翼はびしょ濡れ、でも羽ばたいて飛ぶことを消して忘れはしない。 . 喉で止めた人を呪う言葉。息と鼓動を止めぬことが唯一の価値、故郷はほらまだそこにある。 だから、海鵜のように、海鵜のように、僕は生きる。 だから、海鵜のように、海鵜のように、僕は生きる。 |
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iコード | i51842 | 掲載日 | 2012年 07月 31日 (火) 03時 44分 39秒 | ||
ジャンル | 写真 | 形式 | JPG | 画像サイズ | 365×273 |
ファイルサイズ | 11,231 byte |
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